ブログに戻る

Voicr Team · 2026年5月23日

自分らしさを失わずに、仕事で英語を書く方法

スペイン語、フランス語、ドイツ語を母語とする人へ。英語が第一言語でない仕事の現場で、ユーモア、温かさ、人柄をそのまま保つ方法。

自分らしさを失わずに、仕事で英語を書く方法

スペイン語ではチームを笑わせる役。フランス語では、あまりに見事に書けるので皆が転送するメールの主。ドイツ語では、堅苦しくならずに温かさと正確さを両立できる。それなのに英語でSlackを開いた瞬間、まるで知らない誰かが代わりにキーボードを打ち始める。

その他人は礼儀正しい。文法も正確だ。そして、まったく自分ではない。

英語で仕事をしているが英語が第一言語ではないなら、これは毎日静かに払い続けている税金のようなものだ。ユーモアは平らになる。温かさは形式ばる。鋭い切れ味は「Just wanted to circle back.」みたいな表現に丸められる。同僚が「この人とコーヒー飲みに行きたいな」と思うような人物像が、いつの間にか消えていく。

しかもこれは小さな問題ではない。ある職場調査では、英語非ネイティブの40%が「誤解されるのが怖くて会議で発言を控える」と答えている。その大半は英語が下手なわけではない。英語の中で自分を見失っているのだ。

良いニュース。これは直せる。2年間の発音矯正レッスンは要らない。必要なのは別のワークフローだ。

声の税金:なぜ母語と英語で別人になってしまうのか

仕事で英語に切り替えた瞬間、頭の中で3つのことが起きている。

まず、安全な言葉に手が伸びる。冗談、たとえ話、ちょっとした感情のひと言など、リスクのあるものは「相手にどう響くか読みきれない」という理由で全部カットされる。安全な英語は、味のない英語でもある。

次に、丁寧さを盛りすぎる。学校で「英語は丁寧な言語」と教わったから、「kindly」「please be advised」「I hope this email finds you well」と積み上げる。ネイティブはもうほとんどそう書かない。気づけば、相手より自分のほうが堅苦しくなっている。

そして、翻訳してしまう。自覚がなくても、頭の一部が母語で考えてから英語に変換している。その一手間で、画面に出る前に人柄が削げ落ちていく。

3人の話者がそれぞれ母語のカラフルで表情豊かな吹き出しを持ち、その横に英語の平らで灰色の吹き出しが並ぶイラスト。翻訳の過程で声が平板になる様子を表している

スペイン語・フランス語・ドイツ語が、それぞれあなたの英語にする「クセ」

このパターンは偶然ではない。母語ごとに、英語の押される方向が違う。

スペイン語話者の場合

言い回しを和らげすぎる。スペイン語には *quería preguntarte si...* や *me gustaría saber si...* といった美しい間接表現があり、それをそのまま訳すと長くて回りくどい英語になる。同僚なら「Can you...?」と書くところを、「I would like to know if it would be possible for you to...」と書いてしまう。さらに、スペイン語はコンマを多用する言語だが英語はそうではないため、コンマだらけの長文を書きがちだ。結果として、温かさではなく不安そうに読まれる。

フランス語話者の場合

構文が複雑になりすぎる。フランス語は知的なニュアンスと優雅な構文を好む言語だ。これが英語に出ると、従属節を3つ重ねた文や、TEDトークのような語彙になってしまう。さらに「false friends(同形異義語)」の罠もある。「Actually」は *actuellement* ではない。「Demand」は *demander* よりずっと強い。「Eventually」は *éventuellement* と意味がほぼ逆だ。気づけば、フォーマルすぎるか、思いがけず無礼に響くかのどちらかになる。

ドイツ語話者の場合

直接的になりすぎる。ドイツ語は正確で経済的な言語なので、英語でも冠詞を落とし、クッション言葉を削り、意図した以上に強く響いてしまう。「Send me the file by Friday」はドイツ語なら温かく聞こえる。英語では命令に聞こえる。さらに動詞の位置が独特になりやすく、教科書的には正しいのに不自然な英文になりがちだ。

これらはどれも「間違い」ではない。母語が得意なことをしているだけで、それが英語の得意なことを邪魔しているだけだ。

1日を食いつぶす「訳す→直す」ループ

多くの人が陥っているワークフローはこうだ。

言いたいことを思いつく。その一部は母語で浮かぶ。英語で打ち始める。手が止まる。読み返す。何かおかしい気がする。消す。別の単語を試す。本当に存在する単語か確認する。もう一度読み返す。文の構造を変える。やっと送信する。

Slackの2行のメッセージに、4分かかった。

これを毎通のメール、PRコメント、ドキュメント、議事録、進捗報告に掛け算してみてほしい。非母語で働くと、書く作業に1日30〜90分が上乗せされる。1日の4分の1が、言語の摩擦に消えていく計算だ。

最悪なのは、それだけ手間をかけても、届くメッセージはやっぱり自分らしくない点だ。時間税と声の税、両方を払っている。(この感覚に心当たりがあるなら、音声入力がキーボードより速い理由 の記事で時間の計算をもっと深く掘り下げている。)

英語の中で自分の声を守る、3つの習慣

コーチを雇わなくても、「訳す→直す」のループは縮められる。次の3つの習慣でほとんどが片付く。

意識して短縮形を使う。 「I'm」「you're」「we'll」「don't」。これがフレンドリーな英語の地の音だ。学校はおそらく避けるよう教えたが、職場では学校が間違っている。「I'm writing to」と書くべきところで毎回「I am writing to」と書くたびに、文章に糊が一枚増える。

かしこまった接続表現を捨てる。 「Furthermore」「moreover」「in order to」「with regards to」。これらは教科書英語の名残だ。「also」「and」「to」「about」に置き換える。試しに「Moreover, the deadline is approaching」と口に出してみてほしい。次に「Also, the deadline is close」と言ってみる。後者のほうが同僚の口調に近いはずだ。

最初の直感を信じる。 下書きを書いた直後に「もう少し柔らかくしたい」「もう少し丁寧に」と思ったら、一度止まる。本当に失礼だったのか、ただ直接的だっただけか。本当に不明瞭だったのか、ただ短かっただけか。たいていの場合、最初に出てくる英語のほうが、書き直そうとしている「磨いた版」よりもネイティブの書き方に近い。

「母語で考えて、英語で出す」二言語ワークフロー

ここからが、この問題を静かに解決してくれるワークフローだ。仕事で「自分の声のする英語」を流暢に書ける人たちは、名前は知らなくてもすでにこれを使っている。

「英語で考えよう」とするのをやめる。その必要はない。

脳が自然に使う言語で考える。役立つなら、母語で声に出して言ってみる。そのうえで英語版を書く。ただし翻訳はしない。書くのは「言葉」ではなく「意図」だ。本当は何を伝えたかったのか。母語の丁寧さの層を一旦剥がす。普段つい手が伸びる「安全な英語」も剥がす。残ったメッセージは何か。

これは翻訳するより速い。しかも、翻訳では削げ落ちてしまう人柄が残る。

二段階のワークフロー図。人物が母語のカラフルな図形で考え、小さなマイクに話しかけると、磨かれた英語がMacの画面に表示される

英語の部分を手で打つのをやめると、このワークフローはさらに速くなる。母語で話して、ツールにそれを書き起こして英語に整えさせれば、手作業の翻訳工程は丸ごと消える。Voicrはこれをやってくれる。キーをひとつ押したまま、スペイン語、フランス語、ドイツ語で自然に話すと、磨かれた英語のテキストがクリップボードに入り、ペーストするだけになる。この「磨く」工程こそが、平板に響くか、自分らしく響くかを分ける鍵だ。(Voicrは 自動検出付きでWhisperの100言語フルカタログ に対応しているので、言語選択も邪魔にならない。)

Slack、メール、ドキュメントの即効テクニック

場所ごとに求められる「らしさ」は違う。

Slackメッセージ: 短縮形で始める。本題の質問を最初に置く。母語なら「はい/いいえ」で答えるような構造なら、英語でも同じ構造にする。「Hi, I hope you're doing well.」は省く。Slackはメールではない。

知っている相手へのメール: 挨拶は1行まで。最初の段落で本題に入る。締めは、相手が知らない人物やCEOでない限り、「Best regards」ではなく「Thanks」か「Cheers」で十分だ。

知らない相手へのメール: 書き出しは少しフォーマルでもいい。ただし本文は会話調を保つ。丁寧さは出だしと締めで担保し、真ん中は自分が話しているように書く。

ドキュメントやPR: 最終稿を英語で声に出して読む。詰まったら、その文は長すぎるか節が多すぎる。区切る。ネイティブは「口に出して言わない文」をほとんど書かない。

議事録: 先に母語で書いてから英訳する。議事録こそ、判断や視点が表れる場所なので、自分の声で書く必要がいちばん高い。

「自分」か「英語」かを選ぶ必要はない

英語で働く人に押しつけられがちな嘘がある。「自分らしくあるか、プロフェッショナルでいるか、どちらかを選べ。速く書くか、ちゃんと書くか、どちらか選べ」というやつだ。

これは偽の二択だ。コツは、英語を「思考が生まれる最初のステップ」として扱うのをやめて、「アウトプットのステップ」として扱うこと。考えるのは脳が自然に動く場所でいい。英語版は、それを送り出すための版にすぎない。

これを自分で実感する一番早い方法は、いつもなら3回書き直すような次のメッセージで試してみることだ。母語で考える。同僚でもある友人に話すように、ふだんの調子で声に出す。そのうえで、教科書的なトーンではなく、その時のトーンを写し取ることを目的に英語版を書く。

このワークフローを分単位ではなく秒単位にしたいなら、Voicrがキーひとつで「話して磨く」工程を引き受けてくれる。FNを押したまま、スペイン語、フランス語、ドイツ語、その他100言語のいずれかで話せば、磨かれた英語がカーソルのある場所にそのまま現れる。普段の自分が使うトーンが、結果にちゃんと残る。

英語に来たのは、仕事をするためだ。それをするために、自分を入り口に置いていく必要はない。